こんにちは!
『知っておきたい繊維の知識(素材編)』(ダイセン㈱)より
ご紹介していきたいと思います。
【合成繊維、ナイロンからスタート】
天然の高分子を原料としないで、小さな分子から純化学的に
製造された高分子(ポリマー)の最初の例は、ベークランドに
よって1907年に発明されたベークライトというプラスチックです。
世界初の合成繊維は、1935年にアメリカ、デュポン社の
カローザスが発明したナイロンであることは有名です。
1938年、「石炭と水と空気からつくられ、鋼鉄よりも強く、クモの
糸より細く、すぐれた弾性と光沢をもった合成繊維」という
有名なキャッチフレーズとともに発表されたナイロン繊維
(ナイロン66)は、アメリカでは高価な絹の靴下に代わる、
安価で丈夫なストッキングを生み出して大人気を博し、日本では
当時最大の輸出商品であった絹の強敵の出現と受け止め、
国会でも論議を呼ぶほどの大騒ぎを引き起こしました。
高分子を冷延伸現象、すなわち引っ張ると用意に数倍に伸び、
その後に優れた弾性を示すことを見出し、はじめて糸としての
強さとしなやかさを示すようになることが知られ、合成繊維
興業の発展を決定づける極めて重要な発見となりました。