脇本康裕の気になるコラム

2023年02月25日 海洋の生分解性プラスチックの将来

海洋で生分解されるプラスチックの研究動向が気になります。

海洋環境へのプラスチックの影響は深刻さを増しています。
世界では年間に数百万トンのプラごみが新たに海洋に流出して
いると試算され、50年には海洋中のプラごみの総重量が
魚の総重量を超えるとの見積りもあります。

そこで、頑丈でありながら廃棄後には容易に分解される
プラスチックの開発が進められています。

北陸先端科学技術大学院大学などの研究チームは、海水中で
分解されるプラスチックを開発中。
使用時は頑丈ですが海洋に流れ込むとおのずと分解される
プラで、海水にふりそそぐ太陽光が「スイッチ」として働き、
海水や微生物が分子に入り込んで分解するといいます。


それは2種類の光触媒を使い、プラを構成する繊維の「芯」と
「さや(周縁)」の部分で生分解をオン・オフを設計。

さやの壊れた部分に太陽光が当たると、芯にまで届き
海水と微生物が入り込み生分解が進む光触媒を。
やがて残されたさやの部分は海水に沈みますが、太陽光が
届かなくなると生分解されるという作用の2種類の光触媒を
設計する形を目指しています。

一般的に海洋は低温で微生物が少なく生分解がすすみにくい
環境ですがこの課題を克服できるのだそうです。

水と光がある状態でのみ分解が進む設計としているため、
使用時には少し濡れても乾けば分解しないとのこと。

将来に目を向けると、、、
20年代に性能や安全性の検証が進み、量産技術が確立され
一部用途で実用化。
30~40年代では衣類やレジ袋、農業・漁業器具、玩具など
で採用拡大。
50年代では自然環境中で生分解されるプラスチックが主流
という展望もあるようです。

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