脇本康裕の気になるコラム

2022年10月26日 合成生物学の時代ニーズ

温暖化ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」
への取り組みが話題となったいま、化学合成品の原料を
石油由来から生物素材に切り替えることが期待され、様々な
話題が取り上げられています。

生物の力を活かして有用な物質を効率よく作る「スマート
セル(人工細胞)」を開発する「合成生物学」で、その
有名なのはクモの糸。

クモの糸の強度に着目して人工合成によるタンパク質素材を
開発したのはスパイバー社です。

研究開発を通じて蓄積した様々な遺伝子情報をもとに
遺伝子をデザインすることで用途に応じたタンパク質を
生産していて、シルクのような長繊維、綿のような短繊維、
デニム生地、樹脂、ゲル、スポンジ、フィルムなどの
生産も手掛けています。

米国では、2021年に合成生物学スタートアップへの投資が
180億ドル規模にまで拡大しているほか、中国でも合成
生物学戦略で1000憶ドル以上の政府資金が研究開発に
投じられているのだそうです。

生物で化合物を生産する仕組みが構築されることは、
地球温暖化対策、持続可能性などの観点からも大きな
意味を持ち、時代のニーズに期待がかかりますね。

現在はまだ石油由来の化合物に比べて生産コストの高い
ものが多いですが、技術開発は確実に進められているので
合成生物学はますます発展していくように感じています。

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